低侵襲前立腺肥大症治療 WAVE治療【2023年5月石川県初導入】
前立腺肥大症(BPH)とは
前立腺肥大症(以下BPH)は、加齢などによって肥大した前立腺が尿道を圧迫することにより、尿の出にくさや頻尿といった尿にかかわる様々な症状を引き起こす良性疾患です。加齢によって増加するといわれており、40~50歳代の2%、そして60~70歳代の6~12%の方がBPHの症状を持っているといわれています。
WAVE治療機器Rezumシステム
WAVE(経尿道的水蒸気治療)とは
WAVE(Water Vapor Energy)は、BPHのための治療方法で、肥大した部分に水蒸気を注入し、水蒸気の熱を利用して前立腺を退縮させる低侵襲な治療方法です。日本では行政の承認を2021年に取得した新しい治療法(2022年9月保険適用)ですが、欧米では10年近い実績があり、治療の効果が保たれている事が示されている治療法です。
治療イメージ動画
前立腺内に送り込まれる水蒸気は103℃ですが、体温で冷やされ水に戻ります。この時、発せられる熱エネルギーが肥大組織に影響し、細胞を壊します。壊死した細胞が1~3カ月をかけて自然に体内に吸収されることで、BPHの症状を和らげます。
効果は患者さんによって異なりますが、術後数週間~1カ月後から始まります。
適応
身体への負担が比較的少なく低侵襲であることから、以下のような患者さんが検討されます。
全身状態不良のため合併症リスクが高い症例
高齢もしくは認知機能障害のため術後せん妄、身体機能低下リスクが高い症例
治療の流れ
当院の取り組み
当院ではBPHにおいて手術療法が適用される患者さんのうち、全身状態や手術侵襲を考慮して、治療法を選択いたします。今回導入したWAVE治療は、
従来の手術療法(経尿道的前立腺手術等)が困難な症例
お薬の副作用で悩んでいた方
長い手術時間に適さない方
にも新たな選択肢となるものです。
※全てのBPHに適用となる治療ではありません。
体に優しい治療法ですので、BPHでお悩みの方は担当医までご相談ください。