高血圧センター
高血圧の患者数は現在約4300万人といわれており、日本人の2.5人に1人の計算となります。日本人の三大死因のうちの脳卒中や心臓病などの主な原因となります。また高血圧は「サイレントキラー(沈黙の殺し屋)」と言われており、血圧が高くても症状がないからといって放っておくと突然、心筋梗塞や脳卒中を発症します。浅ノ川総合病院高血圧センターは2022年4月より運用を開始し、循環器内科、腎臓内科、内分泌代謝内科、泌尿器科、外科と協力し血圧のコントロールの難しい難治性高血圧、二次性高血圧の診断および治療に積極的に取り組んでいます。
特に原発性アルドステロン症の診療に力を入れており、疾患に精通した専門医により、診療に当たっています。
二次性高血圧
二次性高血圧は、高血圧の約20%の割合でいると言われ、通常の降圧治療だけでは血圧のコントロールが難しく、原因に適した治療が必要となります。疾患によっては適切な治療により高血圧が完治する可能性もあります。
「二次性高血圧が疑われる場合」
若年発症の高血圧(特に40歳未満)
血圧が160/90mmHg以上の高血圧
治療抵抗性の高血圧
副腎偶発腫(腹部CTでたまたま発見される副腎の腫瘍)を伴う高血圧
40歳未満で脳血管障害を合併している
血清カリウム値が低い高血圧
原発性アルドステロン症
原発性アルドステロン症は副腎で発症する病気です。腎臓の上に位置する副腎は血液を通して体内に様々なホルモンを供給しています。この副腎に腫瘍ができ、アルドステロンというホルモンが過剰に分泌されるようになった状態が、原発性アルドステロン症です。このホルモンは血圧を上げる役割を担っているので、大量に分泌されると高血圧になってしまいます。過剰に分泌されたアルドステロンには、心筋や血管を硬くする作用があるため、通常の高血圧よりも、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高くなる特徴があります。
腫瘍の出来ている副腎を除去すれば血圧は元に戻ります。副腎は二つあるので、片方を取り除いても支障はありません。ただし両方の副腎からアルドステロンが過剰に分泌されていた場合は、アルドステロンブロッカーによる内服治療を行います。また、副腎の腫瘍を手術で取らないでラジオ波という高周波で焼く「ラジオ波焼灼療法」も保険適用になりました。
アルドステロンが過剰に分泌されると血中のレニン(腎臓で作られる酵素)が下がるので、診断にはまず血中のアルドステロンとレニンを同時に調べます。続いて左右どちらの副腎に異常があるかCTなどにより調べます。最終的に左右の副腎から伸びる静脈からカテーテルで血液を採取しアルドステロンの濃度を調べます。この検査は高度な技術が必要なため金沢大学病院と協力して行っています。
手術できない原発性アルドステロン症は数々の降圧薬を使っても降圧しない「難治性高血圧」になります。難治性高血圧は原発性アルドステロン症を含め高血圧の約2割を占めます。当院の高血圧センターはこの「難治性高血圧」に積極的に取り組んでいます。