産婦人科
楽しい妊娠生活、安心な出産、幸せな育児のお手伝いを…
高当院では妊娠を正しく理解し不安なく出産に臨めるよう、妊婦さんの立場に立って、安全で満足していただけるできる限り自然なお産を目指して、外来から退院後までのケアに積極的に取り組み支援に努めています。
各種教室、外来指導も行っております。
専門疾患
産科
医師をはじめ、助産師9人体制で患者さんに対応し、安心してお産ができるよう日頃努力しています。助産師を中心に母親教室、助産師外来や乳房外来も行っており、産後のケアにも積極的に取り組んでいます。安心して出産・育児に臨み、かわいい赤ちゃんに逢える日を、職員一同心よりお待ちしております。
婦人科
子宮筋腫・子宮脱・婦人科悪性腫瘍をはじめとする手術や、卵巣機能不全・不妊症・更年期障害などのホルモン療法を中心に診療しています。
更年期障害で、ほてり・発汗・肩こり・イライラ・不眠・どきどき・頭痛・耳鳴りなどのいろいろな症状が見られたときはホルモン補充療法が有効です。
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ホルモン補充療法
「閉経以降の生活を活動的に女性らしく過ごすために女性ホルモンを補う」これがホルモン補充療法です。月経がなくなる時期(更年期)になると女性ホルモンは極めて低下しています。そのため更年期症状(不眠、うつ状態、イライラ感、ほてりなど)がみられたり、骨粗鬆症となり骨折しやすく、関節痛などが起こります。70歳以上で骨折すると治りにくく寝たきりの原因にもなります。女性ホルモンの投与期間はおよそ5年間必要です。投与期間は長いですが、閉経以降の長い生活を若々しく、より元気に過ごすためにも、このホルモン補充療法を行ってみてください。
<2か月に1回出血する投与方法です>
女性ホルモン(エストラーナ)を1日おきに、腹および腰に貼ります。
14枚が1か月分です。1日おきに貼りますから、2か月で28枚貼ることになります。
この2か月目の後半になりましたら、黄体ホルモン(ヒスロン)2錠を朝食後に5日間のみます。
そして、エストラーナとヒスロンを同時に終了しますと、およそ5日後に子宮出血が数日間あります。<定期健診>
女性ホルモンを投与することで子宮がんや乳がんの発生頻度はホルモン療法をしていない人と比べ、ごく僅かですが高くなるといわれています。しかし、定期的に検診を行えば心配することはありません。ごく僅かの危険性を差し引いてもこのホルモン補充療法の利点のほうがそれらの危険性を上回る効果が期待できます。
<ホルモン補充療法が受けられない人もいます>
現在、乳がん、子宮がんにかかっている人、あるいは過去にかかったことのある人です。重い肝機能障害のある人、血栓症にかかったことのある人も受けられません。
いしかわプレ妊活健診について
皆さんはプレコンセプ ションケアという言葉をご存じでしょうか?コンセプションというのは受胎、つまり赤ちゃんをおなかに宿すこと。プレはその前にという意味です。つまりプレコンセプションケアとは妊娠する前に自分のからだの状態を知ったり、必要な知識を得たりすることで女性やカップルに将来妊娠するための健康管理を提供することを意味しています。
今回ご紹介するプレ妊活健診は石川県健康福祉部少子化対策室が「将来、子どもを望む夫婦が、本格的な妊活の前に、健診と健康教育をセットで受け、 自身の健康状態や妊娠に関する正しい知識を知ることで、ライフプランについて、早期に考えていただくこと」を目的に令和3年7月より開始した新しい事業です。
当院は健診実施医療機関として登録しており、お住まいの市町に申請すれば下記に示した項目の健診が無料で受けることができます。男性側の検査で希望の方には精液検査キットをお渡しし、スマホを使用してご自身で検査することができます。男性にとって精液検査はハードルの高い検査だという話も耳にします。これを機会にご自身で調べてみてはどうでしょうか。
費用
3万円相当の健診が無料で受けられます。
※プレ妊活健診に含まれない検査を受ける場合は別途費用が発生します。
対象
石川県に住所を有する法律上の夫婦※夫婦のうち一方が住所を有する場合も対象
対象要件
妻の年齢が40歳未満(検診日時点)
検査項目
男性 |
女性 |
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身体所見(身長、体重、腹囲、血圧) |
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血糖 随時血糖 HbA1c |
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脂質 |
LDL-C HDL-C TG |
甲状腺ホルモン検査 |
TSH FT4 |
肝機能 |
ALT AST γ-GT |
性感染症 |
クラミジア 梅毒 淋菌 |
精液検査キット |
超音波検査 |
受診方法
お住まいの市町で受診券を発行してもらい、産婦人科までお問い合わせください。 ※受診券の発行方法は市町により異なりますので、お住まいの市町担当課へ一度お問い合わせください
3D超音波画像DVD録画サービス
産婦人科外来では新しい超音波機器を導入し、胎児の画像(動画)をDVDに録画するサービスを行っております。ご希望の方は産婦人科外来受診受付時に、録画希望とお申し出ください。担当医が超音波画像を録画いたします。
費用は、1回につき500円です。なお、ディスク(DVD-R)は当院で準備いたします。
ご不明な点がございましたら、お申し付けください。詳しくはこちらをクリックしてください。
超音波診断装置:GE Voluson E6
UAE(子宮動脈塞栓術)について
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2014年3月6日より、子宮筋腫に対する治療法のひとつUAE(子宮動脈塞栓術)が保険適用となりました。
かつては子宮筋腫に対する治療は開腹手術による子宮全摘もしくは筋腫の部分のみを摘出する筋腫核出術が一般的な方法でした。しかし近年は子宮を取らずに温存し、かつ、体への負担を軽減した治療法が注目されてきています。
UAE(子宮動脈塞栓術)は子宮温存治療法の一つとして世界的に急速に普及してきている治療法です。同じように子宮の温存を目的とした子宮筋腫核出手術と比べ適応が広く、ほとんどの子宮筋腫が治療対象となります。1個の場合はもちろん、数えきれないほど多くの筋腫があってもそのすべてに治療効果が期待できます。
子宮筋腫の説明
子宮筋腫は、子宮の筋層に存在する平滑筋細胞由来の良性腫瘍です。40歳以上の女性の20‐50%が罹患しているとされる極めて頻度の高い腫瘍です。できた場所によって、粘膜下筋腫(子宮の内側)、筋層内筋腫(子宮の筋肉の中)、漿膜下筋腫(子宮の外側)に分けられています。
代表的な症状は月経量の増加と強い月経痛です。その他の症状としては月経以外の出血、腰痛、頻尿(トイレが近い)等があります。症状は、筋腫のできた場所や大きさ、数によって異なります。一般に子宮の内側にできた筋腫は小さくても症状が強く、月経量が多くなる傾向があります。逆に子宮の外側にできた筋腫は相当大きくなっても症状がでないこともあります。
子宮筋腫は良性の腫瘍ですので、それ自体が生命を脅かすものではありません。しかし放置しておきますと10kgを超えるような大きさまでになることもあります。また複数個できることも珍しくありません。そのため子宮筋腫の治療は腫瘍の大きさを制御することと症状を緩和することが重要な目的となります。主な治療法には薬物による対症療法(痛み止めなど、症状の緩和を目的とした投薬)やホルモン療法(子宮筋腫は女性ホルモンにより成長するため薬剤によって女性ホルモンを抑える治療法)、外科的手術(子宮全摘や筋腫核出術)などがあります。しかし薬物療法では、薬を飲み続けなければならないこと、外科的手術では手技及び全身麻酔に伴う危険性があること、手術そのものを希望されない方がいらっしゃることなどが欠点として挙げられます。
このような現状の中、新しく脚光を浴びている治療法の一つが子宮動脈塞栓術(uterine artery embolization: UAE)です。UAEは1995年に最初の報告がなされて以来世界中に普及してきています。我が国でもこれまで自由診療で施行されていましたが高額でした。今回、保険適応されたことで金銭面での負担が少なくなり、婦人科(治療の適応の決定と治療後の経過観察)と放射線科(カテーテル塞栓術の施行)の協力のもと、ますます盛んになっていく治療法と考えられています。
子宮動脈塞栓術の説明
UAE(ユーエーイー:子宮動脈塞栓術)は、カテーテルと呼ばれる細い管を用いて、子宮筋腫に血液を送る動脈をふさぐ血管内治療法の一つです。UAE自体は歴史的にはずっと以前より出産後の大量出血などに対して安全に施行されてきました。子宮筋腫に対しても全世界で施行されており、これまでに数千例の報告があります。UAEにより血流を減らされた筋腫は縮小します。その縮小率は平均40~70%と言われており、症状の改善率は90%、患者さんの満足度は90%との報告があります。開腹手術に比べ体への負担(侵襲)は少なく、患者さんは目の覚めた状態(鎮静剤で少し眠くて痛みを感じない状態)で治療を受けます。傷は足の付け根のカテーテルを挿入する部分に小さな傷跡が残る程度です。
治療の手技は、血管造影検査及び血管内治療を専門としている放射線科医師が行います。
右脚の付け根付近の比較的太い動脈にカテーテルを挿入し、X線透視をみながら、子宮動脈にまで進めます。そこからさらに子宮筋腫を栄養する動脈の枝が分岐するところまでカテーテルを進め、そこから塞栓物質という血管をつめるための薬剤を注入します。塞栓終了後はカテーテルを抜去し、挿入部の圧迫止血を行います。手技に要する時間は1.5時間くらいですが、術後はカテーテルを挿入していた部分の止血のために4~5時間の仰臥位(仰向け)安静、さらに数時間のベッド上安静が必要です。原則、歩行できるのは明朝からになります。その間はトイレ歩行ができませんので、術前に膀胱留置カテーテルを入れさせていただきます。
術後最も高頻度で見られる副作用は治療直後の腹痛です。対策として通常の痛み止めに加えて、当院では希望される方には硬膜外麻酔を用いています。術前に、麻酔科医師が硬膜外麻酔用のチューブを入れさせていただきます。
子宮筋腫の塞栓術は、通常1晩以上の入院を要します。当院では術前の検査、準備を含めて2晩(2泊3日)の入院予定です。術後に見られる腹痛も、翌日には軽減し退院される方がほとんどです。
なお、この治療は原則としては今後の妊娠を希望されない方に行う手技です。
検査の危険性や考えられる合併症
造影剤のアレルギー反応
造影剤の安全性は高く、長年広く世界で使用されておりますが、5%以下に次のような副作用も出現します。(その日の体調や緊張感によっても違います。)皮膚症状(発疹・かゆみ・蕁麻疹)、消化器症状(吐き気、嘔吐)、呼吸器症状(咳・くしゃみ・呼吸困難)、心・血管症状(血圧低下・上昇)、全身症状(熱感・頭痛・倦怠感)
またごくまれですが(0.1%以下)重篤なショック症状を起こすことも報告されています。約40万人に1人の割合での死亡例も報告があります。
副作用の多くは造影剤を使用しすぐに出現しますが、数時間から数日後に出現することもあります。帰宅後に上記のような症状が現れましたら、速やかに病院にご連絡をお願いいたします。
血管造影手技による障害
穿刺部(カテーテル挿入部)の血腫形成、感染、血管損傷による出血・梗塞
造影剤による熱感あるいは疼痛、腎機能障害
局所麻酔薬、感染防止に使用する抗生物質に対するアレルギー反応(蕁麻疹、ショック、死亡など)
検査後の仰臥位安静に伴う静脈血栓・肺塞栓症(呼吸困難、ショック、死亡など)
子宮筋腫塞栓による影響
疼痛(下腹部痛)・・・ほぼ100%の方に起こります。治療効果がでているサインですが、当日一晩が最も痛みが強くなります。翌日には軽減する場合がほとんどです。
発熱
悪心や嘔吐
術後感染症(子宮内感染症、膿瘍)・・・軽症の場合も含めて数%に感染が生じますが、ほとんどの場合は抗生剤で治癒します。ごくまれですが、重度の感染の場合には子宮全摘などの外科的手術が必要となります。
塞栓により血流を失った粘膜下筋腫や内膜に近い筋層内の筋腫が子宮内腔に脱落したり、子宮から排出したりすることがあります。自然排出が望めない場合には子宮鏡下に摘出が必要となる場合があります。
塞栓後に妊娠された際には、流産や子宮破裂の危険性があります。
塞栓物質が卵巣側に流れ、卵巣機能が低下し無月経になる可能性があります。
動脈塞栓術が奏功しない場合(症状が改善しない場合)が、10~15%程度あります。
エンボスフェア(血管塞栓物質)を使用することに対する障害
塞栓物質が子宮動脈以外の血管に流れた場合には脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓症、深部静脈血栓症、下肢動脈閉塞などが起こりえますがUAEに際しては極めてまれです。
子宮筋腫に対するUAEはこれまで日本では保険診療として認められていなかったので高額な自費診療で行わざるを得ず、普及の妨げとなっていました。しかし2014年3月6日より一定の施設基準、実施する医師の経験を条件に保険診療として認められることになり、当院でも保険診療として子宮筋腫(及び子宮腺筋症)の治療法の一つとして施行しています。当院、産婦人科にお気軽にご相談ください。